2025.10.03 耳・鼻・のどの病気日帰り手術 鼻中隔弯曲症とは?|鼻づまり・いびきの原因と日帰り手術のすべて【飯塚市・麻生耳鼻咽喉科クリニック】 はじめに 「いつも鼻が詰まっている」「片方の鼻だけ通らない」「いびきがひどいと言われる」——そんなお悩みはありませんか?実はそれ、鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)という、鼻の構造に原因がある病気かもしれません。 本ページでは、耳鼻咽喉科専門医の立場から、鼻中隔弯曲症の症状・原因・検査・治療法(特に日帰り手術)について、できるだけわかりやすく解説します。 また、当院で実施している安全で負担の少ない日帰り手術の流れや術後の注意点についてもご紹介します。 これまで「アレルギー性鼻炎だと思っていた」、「薬が効かない」、「手術は怖い」といった不安を抱えていた方にも、ぜひ最後までご覧いただきたい内容です。 鼻中隔弯曲症とは? 「鼻中隔」は左右の鼻腔の間を隔てている部分で、成人の場合、左右どちらかに曲がっていることは珍しくありません。鼻と鼻中隔は成長とともに大きくなり前後、上下に広がりますが、その過程で鼻中隔にたわみが生じ、弯曲すると言われています。しかし、この弯曲が大きく、強い鼻づまりなどを引き起こしている場合に鼻中隔弯曲症と診断されます。 鼻中隔弯曲症があっても、特に症状がなければ治療の必要はありませんが、弯曲が強いと、慢性的な鼻づまりや繰り返す鼻出血、副鼻腔炎、嗅覚障害などの原因となることがあります。薬物療法などで症状が改善しない場合には、鼻中隔弯曲症の手術を検討することをお勧めします。 鼻中隔弯曲症の原因 鼻中隔は骨や軟骨で構成されており、身体の成長と同様に成長していきます。この骨や軟骨は思春期に大きく成長しますが、成長バランスの崩れやタイミングのずれによって鼻中隔が弯曲します。そのため、思春期前には鼻中隔の弯曲はほとんどありません。その他、鼻の打撲や外傷によって鼻中隔弯曲を生じるケースもあります。 軽度の曲がりは多くの方にありますが、症状として現れるレベルの弯曲は治療が必要になることがあります。 鼻中隔弯曲症の症状 主な症状は鼻づまりですが、それに伴って以下のような症状が出てしまいます。 片側、または両側の鼻づまり(慢性化しやすい) 最も問題となる症状が鼻づまりです。通常は片側に鼻づまりが起こりやすいですが、弯曲が高度の場合、両側の鼻で空気の通りが悪くなります。 繰り返す鼻出血 鼻中隔の弯曲が強いと、その先端の粘膜は弱く、傷がつきやすいため、鼻出血を繰り返すことがあります。 鼻呼吸がしづらく、口呼吸が習慣に 口呼吸に伴い、のどが乾燥し、ウイルスに対する抵抗力が落ちる場合があります。そのため、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染を起こしやすくなります。 睡眠時のいびきや無呼吸、頭痛、倦怠感 鼻づまりにより鼻呼吸ができなくなると、夜間のいびき、無呼吸につながります。これに伴い、睡眠の質が低下し、日中の頭痛や倦怠感が生じる場合があります。 嗅覚障害 鼻づまりが高度の場合、鼻の中ににおいがうまく入っていかず、においがしずらい、あるいはにおいがしないといった症状が出現する場合があります。 慢性副鼻腔炎の併発 鼻の中の空気の通りが悪いと、副鼻腔の換気も悪くなるため、副鼻腔炎を起こしやすくなります。また、慢性化の原因にもなります 鼻中隔弯曲症の検査 まずは問診で症状や経過について詳しくお尋ねした上で、鼻の中を観察します。加えて、以下の検査を行い、診察の内容や検査結果を総合的に判断した上で診断します。実際の画像を見ながら病状をわかりやすく説明し、治療方針を立てていきます。 鼻内視鏡検査 細径の内視鏡を用いて鼻腔内を観察し、鼻中隔弯曲の程度や鼻づまりの程度、副鼻腔炎の有無を確認します。 CT検査 鼻中隔の弯曲や粘膜の腫れが強すぎて、内視鏡では十分な観察ができない場合に鼻中隔の弯曲具合を確認する方法です。副鼻腔も含めて撮影するため、鼻の中の構造や副鼻腔炎の有無の評価も同時にできます。 鼻腔通気度検査 鼻の通りやすさを数値化して、客観的に評価する検査です。鼻にセンサーを装着して、鼻呼吸をするだけでできる、簡便で、侵襲の少ない機能検査です。 アレルギー検査 鼻中隔弯曲症にアレルギー性鼻炎を併発している場合、鼻づまりがより強くなります。鼻中隔弯曲症だけを治療をしても症状が改善しない場合があるため、アレルギー性鼻炎・花粉症がないかを確認する必要があります。 鼻中隔弯曲症の治療法 鼻づまりが軽度であれば、以下の方法で経過観察を行うことがあります。 ・アレルギー薬の内服 ・ステロイド点鼻薬の使用 ・鼻洗浄(鼻うがい) しかし、鼻中隔の構造自体が問題のため、根本的な解決にはならず、繰り返す鼻づまりや頭痛の原因となることが多いです。根本的な治療のためには手術が必要になります。 鼻中隔弯曲症の手術 鼻中隔弯曲症の根本的な治療のためには、鼻中隔矯正術(内視鏡下鼻中隔手術1型or3型)と下鼻甲介手術(内視鏡下鼻腔手術1型)を組み合わせた鼻閉改善手術を行います。顔面の成長前に手術を行うことで、成長に悪影響を与える可能性があるため、手術可能年齢は15歳以上としています。また、この手術は比較的侵襲が少なく、術後合併症のリスクも低いことから、当院では局所麻酔での日帰り手術で対応しています。 鼻中隔矯正術(内視鏡下鼻中隔1型or3型) 鼻中隔矯正術では、鼻中隔が弯曲した部分の軟骨と骨を切除し、鼻中隔がまっすぐになるよう、形を整えます(1型)。また、鼻中隔が前方で弯曲している方は、前弯矯正術という軟骨の切断、縫合が必要な場合があります(3型)。 いずれも鼻腔内の空気の流れの妨げになる部分だけを操作するため、外鼻の形態(鼻の外見)に影響を与えることはありません。 下鼻甲介手術(内視鏡下鼻腔手術1型) アレルギー性鼻炎や肥厚性鼻炎を認める場合に、鼻中隔の外側にある下鼻甲介の粘膜や骨を切除する手術です。多くの場合、鼻中隔矯正術と同時に行うことで、より快適な鼻通りを実現できます。慢性的な鼻づまりがある方には特に有効です。 手術はこんな方にオススメ ・内服薬や点鼻薬を使用しても、鼻づまりが改善しない方 ・鼻づまりに対してレーザー治療を行ったが、改善しなかった方 ・無意識に口呼吸をしている方 ・においが分かりにくい方 ・鼻血を繰り返す方 ・副鼻腔炎を起こしやすい方 鼻中隔弯曲症の日帰り手術について 当院は飯塚市を含む筑豊地域で唯一、耳鼻咽喉科の日帰り手術に対応している医療機関です。手術を受けられる患者さまが安心して治療を受けられるような体制を整えています。 当院で行う鼻閉改善手術の特徴 高性能な手術支援機器を完備 高解像度の「4K内視鏡カメラ・モニター」を採用し、より安全性の高い手術を目指しています。また、病的な粘膜などを吸引しながら削り取る「マイクロデブリッター」という手術機器を用い、手術時間を短縮することで手術を受けられる患者さまの負担軽減に努めています。鉗子などの基本的な手術器具と組み合わせて使用することで、より高い効果を発揮します。 局所麻酔で身体の負担を軽減 鎮痛・鎮静作用のある薬剤を点滴し、うとうとした、半分眠ったような状態を保ちながら、鼻の内部に麻酔薬を注射し、痛みや恐怖心を抑えた手術を行います。鼻の内部に行う麻酔は、術式に応じて麻酔薬の濃度や量、注射する部位などを適切に判断し、実施しています。 術後の負担を少なくするガーゼの工夫 当院では手術の際に適切な止血処置を行い、鼻に詰めるガーゼの量を必要最低限で済むよう努めています。これにより、抜去時の痛みや頭重感、鼻詰まりといった不快な症状を軽減できるよう工夫しています。 また、術後2日目にすべてのガーゼを除去し、患者さまの負担をなるべく減らし、社会復帰が早まるよう努めています。 経験豊富な耳鼻咽喉科・頭頸部外科専門医による手術 手術の執刀は日本耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会専門医、および指導医を持つ院長が行います。これまでの豊富な手術経験をもとに、鼻中隔弯曲症の診断から手術、および術後の処置まで一貫して対応いたします。また、手術後は院長直通の連絡先をお渡ししています。24時間対応しておりますので、手術後もご自宅で安心してお過ごしいただけます。 手術の流れと手術当日の過ごし方 手術が決定された患者さまには、術後の生活の注意点等、より詳細な資料を用いてご説明させていただきます。本ページでは、簡易的な流れをご説明させていただきます。 診察・治療方針決定・術前検査 まずはご来院いただき、診察、検査(内視鏡・CTなど)を行い、鼻腔内の状態を確認した上で、適切な治療法を提案します。治療として手術が最適であり、ご希望される場合には、手術日程を調整します。加えて、術前検査として採血、鼻腔通気度検査などを行います。なお、受診当日にいきなり手術を行うことはできません。 手術、および手術後の流れについての説明 持病や内服薬、および事前に行った検査に問題がないことを確認します。その上で、手術の詳細について、院長より説明させていただきます。加えて、担当スタッフより術前後の注意事項や流れなどを説明させていただきます。手術に対しての不安が少しでも軽減できるよう、患者さまやご家族からの質問に納得いくまでお答えいたします。 手術当日 点滴確保、および局所麻酔を行った後、手術を開始します。術後は約30分程度安静にしていただき、状態が安定していることが確認できれば、帰宅いただけます。なお、術後は体内に麻酔が残るため、お車や自転車の運転はできません。お迎え、もしくはタクシーの利用をお願いします。 手術後 手術当日を含め、3日間は連日受診していただき、鼻腔内の観察、処置を行います。その後は週1~2回程度の通院、処置を行いながら、手術後の経過を確認させていただきます。また、お仕事や学校は4日目以降から、飲酒や喫煙、運動は1週間後から、遠方への出張やご旅行は1か月後からが目安です。 副鼻腔炎手術の費用 当院では行っている鼻閉改善手術はすべて健康保険適用です。手術費用については以下の通りです。慢性副鼻腔炎などの手術を併せて行う場合には、別途料金が発生します。ご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 手術方法と費用一覧 手術名 3割 1割 内視鏡下鼻中隔手術1型(骨・軟骨手術) 19,860円 6,620円 内視鏡下鼻中隔手術3型(前弯矯正術) 89,040円 29,680円 内視鏡下鼻腔手術1型(下鼻甲介手術)片側 23,820円 7,940円 内視鏡下鼻腔手術1型(下鼻甲介手術)両側 47,640円 15,880円 ※手術のみの費用です。上記に再診料・薬剤費などが加算されます。 ※各種クレジットカード、キャッシュレス決済可能です。 高額療養費制度について 当院の手術はすべて保険適用で、さらに高額療養費制度が適用されます。これは年齢や所得に応じて自己負担額の上限が決まっており、上限を超えた額は払い戻しを受けることができる仕組みです。事前に健康保険限度額適用認定の申請を行った場合、手術当日の窓口でのお支払いが上限額までで済みますので、申請をお勧めしています。なお、マイナンバーカードを健康保険証として利用登録されている場合は、申請不要となりますので、お申し出ください。 鼻中隔矯正術の合併症について 以下のような合併症が起こる可能性がありますが、術中、術後のリスクが少しでも軽減できるよう、努めています。また、詳細については手術前にしっかりと説明させていただきます。 鼻出血 粘膜を切開したり、骨を切除するため、術後数日は少量の出血があります。そのため、術直後は鼻にガーゼやスポンジをつめて対応します。大量に出血することは大変まれですが、もし起こった場合は止血の処置を行います。 鼻中隔穿孔 鼻中隔穿孔とは、鼻中隔に穴があくことで、左右の鼻腔が交通してしまう状態をいいます。鼻中隔の弯曲が強い場合、弯曲部は棘のようになっており、その頂点の粘膜は大変薄く、脆くなっています。この部分の骨や軟骨を切除する際に、粘膜を傷つけてしまうことがあります。自然に修復されることが多いですが、時折、粘膜に穴があき、術後その穴が残ってしまう場合があります。特に支障がないことがほとんどですが、鼻呼吸をする際に音がするといったことがあれば、音が出ないよう処置を行う場合があります。 鼻中隔血腫・膿瘍 鼻中隔血腫とは、鼻中隔の粘膜の中に血液が溜まってしまう状態をいいます。手術終了前に止血処置を行うため、起きることは稀ですが、万一生じた場合には血液を除去する処置を行います。また、血液が溜まったまま、放置してしまうと、化膿してしまい、膿が溜まる場合があります。この場合も、発見次第、速やかに膿を排出する処置を行います。 鞍鼻 鞍鼻とは、鼻の高さが低くなることをいいます。手術の際には、主に弯曲した部分を中心に切除し、鼻の高さを支える部分は操作しないため、起きる可能性は非常に稀です。 さいごに 鼻中隔弯曲症の診断と治療は当院へ 鼻中隔弯曲症は、慢性的な鼻づまりやいびき、睡眠の質の低下を引き起こす原因となる疾患です。「いつも片方の鼻が詰まっている」、「お薬を使用しても効果がない」、「鼻呼吸ができずに疲れる」といったお悩みがある方は、ぜひ一度専門的な検査を受けてみてください。麻生耳鼻咽喉科クリニックでは、精密な診断と日帰り手術体制を整え、患者さんの生活の質の向上をサポートしています。鼻の不快感から解放されることで、睡眠や集中力、呼吸の快適さが大きく改善されることも多くあります。 筑豊地域・飯塚市で鼻中隔弯曲症や慢性的な鼻づまりでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。「まずは診てもらいたい」という段階でも構いません。早期の診断と治療が快適な日常への第一歩です。 よくあるご質問 Q01.どういった場合に手術をした方がいいですか? 【回答】慢性的な鼻づまりの他、鼻出血を繰り返す、いびきや睡眠時無呼吸などがあり、鼻中隔弯曲症が明らかに影響を及ぼしている場合に手術をご提案しています。比較的症状が軽い場合でも、術後に鼻がつまっていたことに気づくという方も少なくありません。 Q02.入院や全身麻酔での手術は可能ですか? 【回答】当院には入院設備はなく、すべて日帰りで手術を行っています。また、全身麻酔での手術も行っていませんが、手術中は眠くなるお薬を使用します。全身麻酔をご希望の方は、他施設へ紹介させていただきます。 Q03.子どもでも手術は可能ですか? 【回答】顔面の成長前に手術を行うことで、成長に悪影響を与える可能性があるため、手術可能年齢は15歳以上としています。 Q04.手術は痛いですか? 【回答】はじめに鼻の中に麻酔液のしみ込んだガーゼを挿入し、表面麻酔した上で局所麻酔薬を注射しますので、手術中の痛みはほとんどありません。もし、手術中にに痛みが生じた場合には、適宜局所麻酔薬を追加します。また、手術後数時間経過すると、麻酔の効果が切れ、痛みを感じられる方が多いため、鎮痛剤をお渡ししています。 Q05.手術にはどのくらいの時間がかかりますか? 【回答】鼻閉改善手術(鼻中隔矯正術+下鼻甲介手術)の所要時間の目安は約90分程度となります。 Q06.手術後、仕事や学校はいつから行けますか? 【回答】お仕事や学校は4日目以降からの復帰可能な場合がほとんどです。術後の状態や体調を見ながら調整します。 Q07.手術後の通院はどれくらい必要ですか? 【回答】手術後の経過には個人差があり、通院頻度は若干異なりますが、まずは手術の日を含む3日間は続けてご来院いただく必要があります。その後は経過を見ながら、週1~2回程度の受診をお願いしています。 Q08.手術による見た目への影響はありますか? 【回答】手術は鼻の中の構造を整えるものであり、外見の鼻の形には基本的に影響しません。また、手術は鼻の穴の中から内視鏡を挿入して行うため、顔に傷が残ることはありません。 Q09.再発することはありますか? 【回答】手術で鼻中隔を矯正すれば、再び曲がることはほとんどありません。ただし、外傷や成長による変化で再度弯曲が起こるケースはごく稀にあります。 Q10.手術費用は保険適用ですか?また、高額療養費制度は使用できますか? 【回答】当院で行っている手術はすべて保険適用です。また、高額療養費制度もご利用いただけます。 お問い合わせ・ご予約 お問い合わせ 文責・監修医師 麻生耳鼻咽喉科クリニック 院長 麻生丈一朗・医学博士 ・日本耳鼻咽喉科学会専門医 ・日本気管食道科学会専門医 福岡県飯塚市の麻生耳鼻咽喉科クリニックを継承し、小さいお子さんからご高齢の方まで、世代を問わず、幅広い年代の筑豊地域の患者様へ医療を提供。充実した検査機器による耳鼻咽喉科の一般診療に加え、日帰りでの手術加療も実施し、耳鼻咽喉科として可能な限り幅広い医療を提供している。 一覧へ戻る 診療時間 月 火 水 木 金 土 日・祝 午 前 9:00〜13:00 - 午 後 15:00〜18:00…15:00~17:00 - - 〒820-0070 福岡県飯塚市堀池254-2 【オンライン受付】 午前診察 7:00~12:30/ 午後診察 7:00~17:30(火・土は7:00~16:00) 【受付時間】 午前:13:00まで/午後:18:00まで (火・土の午後は17:00まで) 【休診日】 木曜午後・日・祝日 お問い合わせ 0948-28-1122 Web予約