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2026.08.02
  • 耳・鼻・のどの病気

末梢性顔面神経麻痺とは?ベル麻痺・ラムゼイ・ハント症候群の症状・治療・受診目安

はじめに

突然、片側の顔が動かしにくくなった、目を閉じられない、口から水が漏れるといった症状は、顔面神経麻痺の可能性があります。顔面神経麻痺は文字の通り、顔の筋肉を動かす神経である顔面神経に麻痺が生じる病気で、中枢性と末梢性に分けられます。末梢性顔面神経麻痺であることが多く、あまり知られていませんが、主に耳鼻咽喉科が診断と治療を行います。顔面神経麻痺を発症した場合、原因と麻痺の重症度を診断し、早期に適切な治療を開始することが重要で、特に、発症後3日以内の診断・治療開始が望ましいとされています。

一方、顔の麻痺に加えて、手足の麻痺やろれつの回りにくさがある場合は、中枢性顔面神経麻痺の可能性があります。この場合は速やかに神経内科や脳神経外科、または救急外来を受診してください。

ここでは主に、末梢性顔面神経麻痺について解説していきます。

まず確認|受診すべきは耳鼻咽喉科?神経内科・脳神経外科?

顔面神経麻痺を発症した場合、何科を受診するべきか迷われる方も多くいらっしゃいます。

耳鼻咽喉科で診断、治療を行うのは末梢性顔面神経麻痺です。

一方、顔のゆがみに加えて、以下のような症状がある場合は、中枢性顔面神経麻痺を疑います。

・片方の手足に力が入らない

・手足や顔にしびれがある

・ろれつが回らない

・言葉が出ない、会話を理解しにくい

・立てない、歩けない

・物が二重に見える

・意識がぼんやりしている、あるいは意識がない

・経験したことのない激しい頭痛がある

中枢性顔面神経麻痺では、顔面神経麻痺が比較的軽度であることも特徴の1つです。中枢性顔面神経麻痺は脳梗塞や脳出血、脳腫瘍など、主に脳の疾患で起こることが多いため、耳鼻咽喉科ではなく、速やかに神経内科や脳神経外科、または救急外来を受診してください。

末梢性顔面神経麻痺とは

顔面神経は、眉やまぶた、頬、口元など、顔の筋肉を動かす神経です。味覚、涙や唾液の分泌、耳の中にある筋肉の働きにも関係しています。

顔面神経は脳から出た後に側頭骨(耳の骨の中)を通り、さらに耳下腺という耳の下にある唾液腺の中を通って目、鼻、口などに分布しています。その途中で障害された結果、顔面麻痺を起こしたものが末梢性顔面神経麻痺です。多くは片側に起こります。

末梢性顔面神経麻痺の主な原因

末梢性顔面神経麻痺には主に以下のようなタイプがあります。なかでも、ベル麻痺やHunt症候群では、疲れやストレスなどで免疫が落ちた際に、体内に潜伏していたウイルスが暴れだし、発症に関与すると考えられています。

ベル麻痺

ベル麻痺は末梢性顔面神経麻痺の中で最も多く、約60%以上を占めると言われています。単純ヘルペスウイルスや血流障害が関与していると考えられていますが、原因不明のことも多く、特発性顔面神経麻痺とも呼ばれています。側頭骨という硬い骨の中で神経に炎症とむくみが生じ、締め付けられてしまうため、神経の血流が悪くなり、麻痺を引き起こすとされています。

ラムゼイ・ハント症候群

ラムゼイ・ハント症候群(以下、Hunt症候群)は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が再活性化して起こります。

顔面神経麻痺に加えて、

・耳介や外耳道の水疱

・口の中や舌の水疱

・強い耳の痛み

・難聴、耳鳴り、めまい

といった症状を伴いやすいことが特徴です。

ただし、麻痺が出た数日後に水疱が現れる場合や水疱がまったく現れない不全型Hunt症候群・無疱疹性帯状疱疹(ZSH)の場合もあります。ベル麻痺と比較して、麻痺の程度が高度であることが多く、治癒率も低いため、注意が必要です。

ZSHとは?

水痘・帯状疱疹ウイルスは水痘(水ぼうそう)罹患後も体内に潜伏し、体の免疫力が低下したときに再活性化して神経に炎症を起こすと考えられています。通常は再活性化した神経の支配領域に皮疹が出るのですが、ZSHは皮膚や耳に明らかな水疱が現れない状態です。

典型的なHunt症候群は比較的診断しやすい一方で、水疱や難聴がない不全型では、初診時にベル麻痺との区別が難しいことがあります。そのため、麻痺の程度の評価や耳や口の診察に加え、難聴、めまいなどの症状を伴っていないかをきちんと評価する必要があります。

その他、中耳炎などによる炎症性、顔面骨や側頭骨の骨折などによる外傷性、耳下腺腫瘍などによる腫瘍性、手術に伴う合併症なども原因となることがあります。

末梢性顔面神経麻痺の主な症状

顔面神経麻痺を発症した場合、顔の筋肉が麻痺することにより以下のような症状が、通常は片側に現れます。

・額にしわを寄せにくい

・眉毛を上げられない、眉毛の高さに左右差がある

・目を完全に閉じられない

・まばたきがしにくい

・口角が下がる

・笑った時に口元が左右非対称になる

・口元から水や食べ物がこぼれる

・頬を膨らませられない

・味覚障害(舌の片側で味を感じにくくなる)

・涙や唾液が出にくい

・耳周囲の痛みや発疹

・音が大きく響いて聞こえる

・難聴、耳鳴り、めまい

末梢性顔面神経麻痺は発症後から麻痺が徐々に進行し、1週間ほどで最も悪い状態になると言われています。

末梢性と中枢性の顔面神経麻痺の違い

顔面神経麻痺は、障害された場所によって末梢性と中枢性に分けられます。

末梢性顔面神経麻痺では、一般に額、まぶた、口元のすべてが動かしにくくなりますが、中枢性顔面神経麻痺の場合、額の動きが保たれることが多く、口元を中心に症状が出現します。

顔面神経麻痺を発症した場合に、「おでこにしわを寄せられるかどうか」は、末梢性か中枢性かを見分ける重要なポイントの1つと考えられていますが、これだけでは末梢性か中枢性かを完全に区別することはできません。手足の麻痺、ろれつ障害、激しい頭痛、複視、歩行困難などを伴う場合は、中枢性の可能性があるため、耳鼻咽喉科ではなく、速やかに神経内科や脳神経外科、または救急外来を受診してください。

耳鼻咽喉科で行う診察と検査

顔面神経の大部分は耳の骨の中を通っています。耳鼻咽喉科では、麻痺の程度だけでなく、耳の病気、帯状疱疹、聴力や平衡機能の異常を含めて診断します。

問診と神経症状の確認

発症した日時、症状の進み方、耳の痛み、味覚障害、難聴、めまい、基礎疾患など、必要事項を問診します。同時に、手足の麻痺など、中枢性疾患を疑う症状がないかの確認も行います。

耳・鼻・口の中・のどの診察

耳介、外耳道、鼓膜、口腔内に水痘・帯状疱疹による水疱や発赤がないかを確認します。初診時に水疱がなくても、経過中に現れることがあります。

柳原法による重症度評価

柳原法は、額のしわ寄せ、眼を閉じる、口を動かす動作などを確認し、顔面神経麻痺の程度を40点満点で評価する方法です。

麻痺の重症度は、治療内容や専門施設への紹介を判断するうえで重要です。2023年版ガイドラインを反映した区分では、20点以上を軽症、1218点を中等症、10点以下を重症としています。

聴力検査・アブミ骨筋反射

難聴の有無を確認するとともに、音に反応する耳の中の筋肉が正常に働いているかを調べます。アブミ骨筋反射は、発症早期の顔面神経障害を評価する検査の一つです。

眼振検査・めまいの評価

めまいを伴う場合は、目の動きである眼振を確認します。Hunt症候群だけでなく、脳幹や小脳の病気なども念頭に置いて評価します。

電気生理学的検査(誘発筋電図検査:ENoG)

ENoGは、耳の後ろを電気で刺激し、それに対する顔の筋肉の反応を調べ、神経がどの程度障害されているかを評価する検査です。神経変性の程度を客観的にとらえることが可能で、主に高度の麻痺や難治性の麻痺の場合に行い、回復の見込み(予後)を予測するために行います。

発症直後には正確な評価が難しいため、発症から1014日後に検査を実施するのが一般的です。重症例では予後の予測以外に、顔面神経減荷術などの追加治療を検討する際の重要な判断材料になります。

ENoG値が低いほど神経障害が高度で、回復に時間がかかり、麻痺の残存や病的共同運動、顔面拘縮などの後遺症が残る可能性が高くなります(個々の症例の回復を断定することはできません)。

ENoGは当院では施行していません。中等症以上の麻痺の場合には、当院で初期治療を開始した上で、ENoGを含む評価目的に、主に飯塚病院などの専門機関へ紹介しています。

血液検査・画像検査(CT・MRI)など

採血や画像検査は、全例に必要なわけではありません。糖尿病や感染症の状態を確認する場合、外傷、中耳炎、腫瘍など別の原因を疑う場合には、血液検査や画像検査が必要になります。特に、中枢性疾患が疑われる場合には、神経内科や脳神経外科へ紹介させていただきます。

末梢性顔面神経麻痺の治療

麻痺の程度と治療開始時期によって、治療内容は異なります。また、発症から麻痺のピークである710日目くらいまでは、治療を行っても麻痺が悪化する可能性があります。

ステロイド治療

神経の炎症やむくみを抑える目的でステロイド薬を投与します。発症から治療開始までに時間を要してしまうと十分な効果が期待しにくくなるため、できるだけ早期に治療を開始することが重要です。

投与量は顔面神経麻痺の重症度、発症からの日数、年齢、体重、その他の基礎疾患などに応じて決定し、一定期間かけて徐々に減量します。一般的に、中等症の場合にはプレドニゾロン60mg/日、または1mg/kg/日から内服を開始し、10日間で徐々に減らしていく、漸減投与を行います。

軽症・中等症の場合は内服治療が中心ですが、麻痺が重症の場合には、高用量のステロイド投与(主に点滴)や入院管理が必要になることがあるため、専門機関へ紹介する場合があります。またステロイド投与に注意が必要な合併症(糖尿病、B型肝炎、胃潰瘍、緑内障、精神疾患など)がある場合も同様に紹介します。

抗ウイルス薬

顔面神経麻痺治療の中心はステロイド投与ですが、以下の場合には抗ウイルス薬を併用します。

Hunt症候群と診断した場合

・不全型Hunt症候群が疑われる場合

・中等症以上のベル麻痺

・麻痺がきわめて高度な場合

・強い耳痛や味覚障害がある場合

特にHunt症候群ではステロイドと抗ウイルス薬を併用し、発症から72時間以内に治療を開始することが重要です。主に、バラシクロビルという抗ウイルス薬を使用しますが、投与量はベル麻痺かHunt症候群か、麻痺の重症度、年齢、腎機能などによって異なります。

ビタミンB12製剤・循環改善薬など

神経の回復を補助する目的で、ビタミンB12製剤や循環改善薬を併用します。ただし、ステロイドや抗ウイルス薬と同程度に有効性が確立しているわけではなく、あくまで補助療法として投与します。

顔面神経減荷術

顔面神経減荷術は、側頭骨の中でむくんだ神経の絞扼を解除し、神経を開放するために行われる手術です。薬物治療を行っても予後不良が予測される一部の重症例や麻痺が進行する症例では、専門機関での顔面神経減荷術の適応を慎重に判断する必要があります。

目が閉じにくい場合の治療

まぶたを完全に閉じられないと、目の表面が乾燥し、涙が増えたり、角膜に傷がつくことがあるため、必要に応じて、点眼薬を使用したり、眼帯などで目を保護する必要があります。目の強い痛み、充血、視力低下がある場合は、速やかに医師へ相談してください。

注意:処方された薬を自己判断で変更しないでください

症状が改善したように感じても、処方された薬を自己判断で中断したり、量を減らしたりしないでください。

反対に、症状が改善しないからといって、自己判断で薬を増やすことも危険です。

ステロイドは、治療効果と副作用を考慮しながら、計画的に減量します。抗ウイルス薬も病状に合わせて投与量を決めています。

薬は必ず医師の指示どおりに服用し、副作用が心配な場合や飲み忘れた場合には、自己調整せず医療機関へ相談してください。

顔面マッサージとリハビリ

顔面神経麻痺のリハビリは、単純な筋力トレーニングではなく、後遺症の予防や軽減が目的です。神経が回復する過程で、目を閉じた時に口元が動いてしまうなどの病的共同運動や、顔がこわばる顔面拘縮といった後遺症が残ることがあります。これらを防ぐためには、顔の筋肉を強く反復して動かすのではなく、力を抜いて小さく、ゆっくり動かすことが大切です。

リハビリ開始の指示があるまでは、筋肉のこわばりをとる程度のマッサージやホットタオルの使用などに留めてください。

リハビリの具体的な方法は、麻痺の程度や回復段階によって異なります。麻生耳鼻咽喉科クリニックでは、実際に顔の動きを確認したうえで、必要な患者さんに個別に指導しています。

自己判断で開始せず、医師・看護師の指導に沿って行ってください。

なぜ発症後早期(特に3日以内)の受診が重要なのか

ベル麻痺やHunt症候群では、耳の骨の中で顔面神経に炎症とむくみが起こります。むくんだ神経が狭い骨の管の中で圧迫されると、神経の障害が進行します。ステロイドや抗ウイルス薬は、すでに失われた神経の働きを直接戻す薬ではありません。炎症やウイルスの増殖を抑え、神経障害がさらに進むのを防ぐ目的で使用します。

このため、顔面神経麻痺は発症してからなるべく早く受診することがとても重要な病気ですが、麻痺を発症してから内科などに受診し、検査をしているうちに、治療開始まで1週間以上が経過してしまうというケースがよくあります。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、治療効果を高めるために、顔面神経麻痺の発症から3日以内に耳鼻咽喉科を受診し、診断と治療を開始することが望ましいとされています。3日を過ぎていても、あきらめる必要はありませんが、できるだけ早期に耳鼻咽喉科を受診し、原因の診断と適切な治療を開始しましょう。

注意:治療を開始しても、発症後1週間ほどは麻痺が進行することがあります。初診時に軽症でも、その後に悪化したり、遅れて水疱や難聴が現れたりすることがあるため、経過観察が必要です。

治るまでの期間と回復の見通し

顔面神経麻痺は発症から約1週間後に最も悪化すると言われていますが、早期に適切な治療を開始すれば、一般に7080%は治癒するとされています。一方で、約2割では麻痺や病的共同運動、顔面拘縮などの後遺症が残ることがあるとされており、半年以上の経過観察やリハビリが必要になる場合があります。

急性期の薬物治療は通常12週間程度ですが、顔の動きが回復するまでには数週間から数か月を要します。症状改善が乏しい場合もあるため、当院では麻痺の重症度を評価し、重症例では初期治療を開始したうえで、速やかに専門機関への紹介も検討することとしています。

回復の見通しは、原因と重症度によって大きく異なります。ベル麻痺は比較的予後良好で、特に不全麻痺や味覚障害がない場合、早期に回復し始める場合は予後が良いとも言われています。一方で、Hunt症候群は、一般的にベル麻痺よりも神経障害が強く、重症になりやすいため、回復に時間がかかったり、後遺症が残ったりする可能性が高いとされています。

いずれの場合でも、重度麻痺、ENoG10%以下、発症34週を経ても回復が見られない場合は、予後が不良であることが多いと考えられています。

ただし、これらの数値が個々の患者さんにそのまま当てはまるわけではありません。顔面神経麻痺の原因だけではなく、重症度、神経変性の程度、発症から治療開始までの期間、年齢、基礎疾患などで予後が変わることがあります。

当院では、おおむね次の期間を一つの目安として説明しています。

・軽症例:13か月程度

・重症例:36か月程度

・神経障害が高度な場合:6か月以上の場合あり

治療を始めても、すぐに顔が動き始めるとは限りません。神経が回復して筋肉へ信号が届くまでには時間がかかります。

繰り返しになりますが、顔面神経麻痺は、発症してから速やかに耳鼻咽喉科を受診し、早期診断、早期治療を行うことがなによりも重要です。

再診の目安

麻生耳鼻咽喉科クリニックでは、初回治療後、通常は714日程度2回目の診察を行います。

再診時には、次の点を確認します。

・麻痺が進行していないか

・柳原法の点数が変化しているか

・耳の水疱が遅れて現れていないか

・難聴、耳鳴り、めまいがないか

・目の乾燥や痛みがないか

・薬の副作用がないか

その後は回復状況に応じて、月1回程度を目安に経過を確認します。

受診後に症状が悪化した場合や、診察の際にはなかった耳の水疱、難聴、激しいめまい、目の痛みなどが出現した場合は、次回受診日を待たずに受診してください。

さいごに
~院長からのメッセージ~

末梢性顔面神経麻痺は、早期の診断と治療開始が重要な病気です。片側の顔が動かしにくい、目が閉じにくい、口から水が漏れるといった症状に気づいた場合は、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。一方、顔の麻痺に加えて、手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、歩けない、激しい頭痛などがある場合は、脳の疾患の可能性があるため、速やかに神経内科や脳神経外科、または救急外来を受診してください。

ベル麻痺に見えても、後から耳の水疱、難聴、めまいなどが現れ、Hunt症候群と分かる場合があります。治療開始後も症状が悪化したり、新たな症状が現れたりした場合は、次回受診日を待たずにご相談ください。また、治療開始後に症状が改善しても、薬を自己中断・自己調整しないことが大切です。不安なことや副作用がある場合は、自己判断する前に必ず医師へご相談ください。

不安を感じる病気ですが、早期に適切な治療を行うことで、多くの場合は改善が期待できます。気になる症状があれば、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。

よくあるご質問

Q01.顔面神経麻痺は何科を受診すればいいですか?

【回答】片側の顔が動かしにくい、目が閉じにくい、口から水が漏れるなど、顔だけの麻痺の場合は、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。一方、顔の麻痺に加えて、手足の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、歩けない、物が二重に見える、意識がおかしい、突然の激しい頭痛などがある場合は、脳の疾患の可能性があるため、神経内科や脳神経外科、あるいは救急外来を受診してください。

Q02.発症から3日を過ぎています。受診しても意味はありますか?

【回答】受診する意味はあります。顔面神経麻痺では、特に発症後3日以内に診断と治療を開始することが望ましいとされていますが、発症から3日を過ぎても、原因や麻痺の重症度を評価し、必要な治療を開始することで回復が期待できる場合があります。あきらめず、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。

Q03.耳に水疱がなければHunt症候群ではありませんか?

回答】水疱がなくてもHunt症候群の可能性があります。顔面神経麻痺が現れた数日後に水疱が出る場合や、最後まで明らかな水疱が現れない不全型Hunt症候群があります。強い耳の痛み、難聴、耳鳴り、めまいなどを伴う場合は、診察時に医師へお伝えください。

Q04.薬を飲み始めても麻痺が悪化しています。治療が効いていないのでしょうか?

【回答】治療を開始していても、発症後1週間程度は麻痺が進行することがあります。薬を飲み始めた後に症状が悪化したからといって、必ずしも治療が効いていないとは限りません。ただし、麻痺が急速に悪化した場合や、耳の水疱、難聴、激しいめまいなどが新たに現れた場合は、次回の受診日を待たずに医療機関へ相談してください。薬を自己判断で中断したり、量を増減したりしないことが大切です。

Q05.顔面神経麻痺はどのくらいで治りますか?

回答】回復までの期間は、原因や麻痺の重症度によって異なります。軽症では1~3か月程度、重症では3~6か月程度が一つの目安ですが、神経障害が高度な場合は6か月以上かかることもあります。急性期の薬物治療は通常1~2週間程度ですが、顔の動きが回復するまでには時間がかかります。

Q06.後遺症が残ることはありますか?

【回答】顔面神経麻痺では、麻痺が残るほか、目を閉じると口元が動くなどの病的共同運動や、顔のこわばりである顔面拘縮などの後遺症が残ることがあります。後遺症の可能性は、麻痺の重症度や神経障害の程度、治療開始までの期間などによって異なります。強い表情運動や家庭用低周波治療器による電気刺激は、後遺症を助長する可能性があるため、自己判断では行わないでください。

Q07.顔面神経麻痺は再発しますか?

回答】頻度は高くありませんが、再発することがあります。再発した場合の原因が以前と同じとは限りません。腫瘍など他の病気が隠れている可能性もあるため、自己判断せず、改めて耳鼻咽喉科での診察を受けてください。

参考文献

1.日本顔面神経学会 編.『顔面神経麻痺診療ガイドライン 2023年版』.金原出版,2023.

2.萩森伸一.エビデンスに基づく最新の顔面神経麻痺診療.日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報.2023;126(11):1245–1247.

3.山田啓之.明日から実践できる顔面神経麻痺診療―耳鼻咽喉科医が行う急性期治療―.日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報.2025;128(2):100–105.

4.日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会.顔面神経麻痺ってどんな病気?原因・治療・リハビリまで.

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文責・監修医師

麻生耳鼻咽喉科クリニック 院長 麻生丈一朗

・医学博士
・日本耳鼻咽喉科学会専門医
・日本気管食道科学会専門医
福岡県飯塚市の麻生耳鼻咽喉科クリニックを継承し、小さいお子さんからご高齢の方まで、世代を問わず、幅広い年代の筑豊地域の患者様へ医療を提供。充実した検査機器による耳鼻咽喉科の一般診療に加え、日帰りでの手術加療も実施し、耳鼻咽喉科として可能な限り幅広い医療を提供している。